サークルベンチレーションシステムによる心地良く涼しいインナーテントの中で、山猫は昼寝から目を覚ます。
小一時間ほど眠っていたようで、日は落ち始めていた。
外に出て冷たい水を何杯か飲み干し、辺りを見回すと、ママと猫娘が何かを話しながら川で遊んでいた。
キャンプに来てたんだなぁ〜…
そんな事を実感できる瞬間だった。
寝起きの山猫はさっそく、ごそごそと土鍋を取り出す。
今回のキャンプの夕飯には、しゃぶしゃぶを食べる!と心に決めて来たのだ。(庶民には、すき焼きと並んで心躍るメニューですw)
その為に山猫は、7号土鍋と5.5号土鍋の2つを仕入れて来た。
「うちのはダメだからね!自分のお小遣いで買って!」と、自宅用の土鍋を持ち出す事はママ に却下されていたのだ。
いずれにしても、山猫にとっては久しぶりにワクワクするキャンプギア(?)の購入だった。
焦げついて残念な仕上がりになったしゃもを焼き、いつものタコのアヒージョをつついて完食した後、いよいよしゃぶしゃぶの準備開始だ。
まずは土鍋に日本酒を少し入れて煮立て、アルコールを飛ばす。
次に水を入れて、出汁の昆布も投入。
せっかく雰囲気重視の土鍋を使うので、ペースはゆっくりになるが、七輪だけですべてを行ってみる。
でも実際は、会話もなく、夫婦でぼぉーっと七輪の上の土鍋を眺めているだけだ。
「なんでバーナー使わないのかね…」
「なんでバーナー使わないんだ?って思ってるんだろうな…」
無言の夫婦は、言葉にこそ出さないけれど、間違いなく思念で会話を交わしていたと想像してもらえれば、それがこの時の空気である。
ようやく出汁から湯気が出てきて、十分に温度が上がったところでお肉を投入だ。
しゃぶしゃぶの出汁は、沸騰させてしまうとあまりよろしくないらしい。
煮立った出汁でやると、高い肉もくず肉と変わらぬ味にまで落ちるそうで、理想の温度は80℃程度らしい。
もちろんそこまで厳密に温度を測る訳ではなく、
「七輪炭火ならちょうどいんじゃね?」というノリだ。
そしていよいよ、
しゃぶしゃぶ〜♩
買って来たのはしゃぶしゃぶ用の牛肩180gと、牛モモ180g。
口の中でとろけるのが牛肩で、歯応えも楽しめるのが牛モモという感じだろうか。
お肉はゴマだれ、野菜はポン酢ダレで。
とにかく家族で、
しゃぶしゃぶ〜♩
幸せなひと時だったのは、ここで改めて言うまでもない。
19時頃には息子猫も部活から帰宅したようで、ママが晩御飯に何を食べたらいいか指示を出す。
息子猫は毎日朝早くから夜まで本当にご苦労さんだ。(でもこちらでは、しゃぶしゃぶを食べている。許せ!)
しゃぶしゃぶtimeの後に、
「なんでキャンプで土鍋なの?割れやすいし、スタッキングもやりにくいんじゃない?」と、ママが改めて聞いてくる。
「・・・なんでって、それはやっぱり、雰囲気だろ。それ以外にいったい何があるって言うんだ」と山猫は静かに応えておいた。
男はいつもロマンチストなのだ
もちろんママからは、なんの反応も返ってこなかった。
もしかしたらママは、
「パパは想像もつかない程の魅力的な理由で土鍋を入手したのかも知れない。あたしが何も分かっていない、すごい理由があるのかも知れない」などと思って質問をしたのかも知れない。
そして山猫の答えを聞いてから、そんな自分に少し嫌気がさしたのかも知れない。
でも、それはあくまでもママの問題であって山猫の問題ではないのだ…
締めはうどんで。(画像はほぼ食べ終わりですみません)
肉と野菜の出汁も出て、塩胡椒で調えたこのスープが絶品だった。
最近のお店では中華麺を締めにするところもあるようだが、それも納得だ。
〆に中華麺、または雑炊、はたまたお肉と白飯を一緒に…
山猫のしゃぶしゃぶキャンプ妄想は、それからも留まることを知らず膨れ上がっていったのだった。
やはり満足して満腹になってくれた猫娘もテントへ。
ランタンの周りにバイキンマンその他のキャストを集めて記念撮影をし、眠りに落ちていったようだ。
山猫はバーボンと焚火を開始。
この日の夜の気温は17℃程で、まったく寒くない。
誤解を怖れずに言えば、焚火はもう必要のない季節が始まったのかも知れない。
側に居ても暑いだけなので、この日は薪を1束使い切れずに焚火を終わりにした。
なんだか少し寂しいな…と思いながら、星空を眺めて過ごし、22時前にはシュラフにもぐりこんだ。
朝は5時過ぎに起床。
猫娘と一緒にトイレへ向かう。
静かな巾着田の初めての朝だ。
朝の気温は予報通りの13℃で、焚火の暖かさが気持ちいい。
「もしかしたら、焚火は15℃を下回ると楽しくなるのかも知れないな」と自分勝手な仮説を立ててみたりする。
それからしばらく1人で、鳥の声を聴きながら朝の焚火を楽しみ、ようやく薪を1束燃やし尽くした。
珈琲を飲みながらのんびりしていると、近くのサイトのお子さんたちも起きてきて、元気に川で遊んだり、フリスビーを始めたりしているのを眺めた。
今年のGWも、夜の宴会キャンプなどには遭遇せず、気持ちのいいキャンプができた。
このハイシーズンに、それだけでも感謝である。
家族でアサリのパスタを朝食にした後、猫娘と川遊び。
川を渡って行き、2人で林の奥に探検に行ったりもする。
日が昇ると、冷たかった水もまったく気にならなくなるくらいに暑くなってきた。
気づくと、仕事で溜まっていた身体のあちこちの疲れや軋みが、不思議なくらいに消え去っていた。
まさに
フィールドマジックだ。
このマジックがあるせいで、山猫はキャンプがやめられないのである。
川遊びで濡れた靴をランタンハンガーにぶら下げて乾燥。
7時を過ぎると、日帰りのBBQをする方達がどんどん入って来る。
猫娘にもようやく、小さなお友だちができたようで、2人でオタマジャクシをすくってずっと遊んでいた。
その間に撤収作業を開始だ。
こうして山猫ファミリーのGWキャンプが無事に終了した。
結果的に、息子猫もひと晩自宅で留守番ができたようで、この作戦なら、また3人のファミリーキャンプができるかも知れない。
でも息子猫は、初めての留守番で羽根を伸ばし、好きなだけテレビを見ながら、結局ソファーで寝落ちしてしまい、朝の4時に寒くて起きたそうだ。
やはり何かあった時の為に、近場で1泊が限界だろう…(^_^;)
最後に、GWの巾着田公園まとめ。
今回は5月4〜5日の1泊だったが、4日の朝は風も強く、朝まで雨も降る予報と見ていたので、日帰りの方は少ない=お昼頃行っても入れる という読みだった。
それでも第1駐車場の残りは3〜4台で、我家が入場出来たのは奇跡的である。(第2駐車場はまだ入れたようです)
それも夕方には随分と空いていたので、ハイシーズンに泊まるなら、やはり夕方からのinが良いのかもしれない。
そして5日の朝は、トイレが酷いことになっていて、男トイレの洋式は汚物にまみれ、とても使えるレベルではなかったし、小便器にもプラカップが捨てられているような状態だった。
何百人もの人が遊びに来ている中の、ほんの1〜2人の酔っ払いがやった事なのだろう。
トイレは第2駐車場の方にもう1つあるのでなんとかなるけれど、ハイシーズンに行くならば水場やトイレに覚悟は必要だ。
そして、もちろん嫌な気持ちにはなるけれど、せっかくのGWなのだ。
そんな事でこちらまで気分を害されてたまるものか!と山猫は思っている。
この世の中で、常に良い気分でいることよりも大切な事は、他にない(by 引き寄せの法則)
むしろ、すぐに綺麗にしてくれる管理の方達に本当に感謝したいと思う。(清掃協力金という名目で募金箱のようなものがあれば思い切って¥1,000くらい入れていきたい(^_^;)
そんな事を思いながら、昼食は猫娘のリクエストで帰り道のマックに。
ここで、後にポテト事件と呼ばれる出来事が勃発し、とても微妙な空気で帰宅する事になる山猫ファミリーだが、その事件については、このブログで語られることは永遠にないだろう…
おわり…
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